なぜ経営者は外部に相談できる
パートナーが必要なのか?
エグゼクティブの皆様に連続して訪れる可能性の高い事象や意思決定に対して、ご支援をすることに重きを置く新しい“寄り添い”の形
ABP タイムス
ここでは、リアルな取材でしか聞けないような、経営者や現場の皆さまの生の声を記事にしてお届けします。ビジネスや考え方、働き方や企業紹介など、直接お話を伺うことでわかる、企業やその人の深堀りを意識しております。そのため、経営者やビジネスパーソン、学生など、様々な方々にお読みいただければ嬉しいです。ぜひ、最後までご覧ください。
さて、今回の取材相手は、株式会社コスモ計器 取締役会長 古瀬 智之さんです。
規模的にはやっぱり自動車産業が多いです。気密性の検査をし、エアーや液体(水、油)が漏れる製品なのか漏れないのか確認をする装置です。1960年代ぐらい、駐車している車から地面に油のシミのようなものができる現象を見たことありますか?ポタポタと垂れてきて、水溜りになる現象です。あれは、トランスミッションやエンジンからオイルが漏れている状態なのです。そこで、あらかじめ漏れない部品を車に取り付けようというところから事業が始まりました。部品の段階で検査をして、確認すると効率がよいですからね。
パッケージ(包材)などでの利用です。食品の酸化や劣化を最大限に防ぐための袋素材の漏れを検知します。また、医療現場では輸血のパックなどで活用されます。こちらは、特に命に関わるものですし、絶対に漏れてはいけないですよね。このような生活シーンで縁の下の力もちのような役割を担っていると考えます。
もともと過去の経験から早い段階で準備をしたほうがよいと思っていました。なぜなら、私も事業を先代から承継した経験があるからです。相続財産は、配偶者に半分、残り半分を兄弟で分配するわけですが、私たちの場合は筆頭株主が母親にあたりました。そして、さらに母親が亡くなったとき、相続税対策に大変苦労をしました。税金は会社ではなくて相続を受けた個人が払うべきことなので、家族へ継続的に負担をかけることへ抵抗がありました。
はい。普通、社員には「手を抜け」なんて言わないですよね。一生懸命、仕事をしていただくわけで、そうすると業績も上がり、どんどん株価が上がってきます。これは、嬉しいことですが、相続税対策は上手に次の人に渡していく必要があります。
やはり、会社を継続していくための経営戦略としてのパーパスを大事にしています。長く会社を続けていくときのメッセージが、事業承継の段階で断絶してしまうのはよろしくないです。理念、いわばパーパスが必要だと思います。「会社全体で何を目指していくのか?」「子会社を含めてどういうことを実現しようとして動いているのか?」この言語化や共有は、どうしても必要だと考えます。
お客様の満足に寄せる考え方をもち、それをパーパスとするということですかね。弊社は、目的をもってお客様1人1人のパートナーになることを目指しています。一方で、製造や設計開発をする現場の社員には、何か業務の上でお客様の困りごとを感じたときに「これって自分たちのパーパスから離れる方向の困り事だよね」ということを察知できるような感度をもってほしいと思います。
そうですね…私と長女(現、代表取締役社長)では解決する手段や優先順位が若干違うのだなと感じました。私ではかつて気がつかなかったけれど、娘が気ついて改善へのアプローチを変えるといったことです。具体的には、私の場合は組織(仕組み)を作っていくことによって、ソリューションの提供をする考えです。一方、その仕組みが機能するには、ロジカルに仕組みを作っただけではNGで、従業員1人1人の共通した軸がないと成り立たないと考えているのが、現在の代表の考えです。つまり、「教育」ですよね。教育とか学習で創られた仕組みを上手に使いこなす人材を育てること。または前向きに物事を感じて行動を促すような状態にもっていく、モチベーションコントロールの部分に焦点を当てているのが、現在です。優先順位付けが経営者によって異なる点は、面白い発見でした。
すごく肩の荷が下りる感じがありました。うん、最終的には私が判断しなきゃいけない立場でしたから。今は、自分が前に出過ぎちゃいけないと心に決めています。「これはちょっと自分だったら…」というケースも何度かありました。だけど、そのときは、自分と違う考え方も良いと思わないといけない。自分が軽んじていたことを重視する人もいて、それを良いと考えろということですね。事業承継の軋轢は、「相手を認められないから」というところから始まると思います。
そうですね、「吸収することへの習慣化」が若いときからついていたからだと思いますね。私が実質的に事業承継したときは、25歳でした。元々はエンジニアで設計開発をしていたけれど、製品を売ったこともなければ、使ったこともないし、アフターサービスに就いたこともない。経理も含めて、とにかく人から言われることを吸収して経営をしてきました。あとは、仕事を任された人は責任を持ちますよね。だから、自分は口出しをしないで人に仕事を任せることが、結果的によい流れにいくと考えています。
自己実現の素養を持っている方ですかね。かみ砕いて説明するならば、入ってきた方をどのように育てていくかがイメージできる方です。そして、自分自身の人生や社会人としての使命などについて、目的意識のある人が望ましいです。
はい。何か新しい挑戦をするとストレスがかかるわけですよね。周りからの期待や精神的な重圧などです。けれど、その適度なストレスは人を成長させると思うのです。前向きなモチベーションへ繋げていける方。自己実現欲とのバランス感覚というところでしょうか。あとは、お客様や上司とか、周りの人たちに認めてもらうこと、自分の力を第3者に認めてもらいながら、自分のしてきたことを認めてもらうとよいですね。そして、「将来的に自分はこの会社でもっとお客様や社会に対して〇〇を実現したい」と考えられるような人材は素晴らしいと思います。
この先、あなたは30年~50年間は働き続けるけれど、今の仕事が30年先に求められているかどうか。もしかしたらそのポジションはないかもしれません。だから、常に新しくできることを獲得していかないといけないと思います。例えば、ファストフード店やアパレル店員さんなどを想像してください。店頭でフロントとして働いてる人では、あまり50歳、60歳の方は見かけないでしょう?一人前の仕事ができるまでに短い時間で習得できるから、次のステージに行っているわけです。また、それは何を意味するかというと代替性が効く仕事なのです。だから人生設計を長く考えたときに、「アルバイトで生活できるからいいや」という考えはリスクがあると思います。
はい。人は、1日8時間くらい働いているわけですよね。それが週5日働く場合、×50年分の時間を労働に費やす方が一般的です。実際に、どのぐらい働かなきゃいけないのかと自分に尋ねてみるとよいかもしれません。弊社でも「高い報酬をもらえる自分」へ期待感をもっていただき、長く働いてもらうような給与設計も考えています。
未来塾のカリキュラムの中でも「経営とは?」ということを自問自答させて、タスク化してロールプレイングなどを含めて実走していただきます。社長が学んだことを会社に戻って実現させることを狙いとしているのですが、これがまたなかなか難しいとは思うんですよ。それなりの組織で例えば20人30人いる会社でも、社長1人で孤軍奮闘しても難しい。だから、先ほどの仕組みの話だけでなくて、教育面などを含めて継続的に伴走して支援してくださる方がいるのは非常に力強いと思うんですね。相談がいつでもできるようなパートナーがいてくれて、自分が思いつかないことを気づかせてくれる存在はありがたいはずです。カリキュラムの中での伴走支援とは、また違った印象があります。
日々の経営や、ある種、経営者の生活にも密着していくわけですから。骨肉を削るような想いでご支援をしていかないと、信頼関係は築けないと思いますし、サービスを受ける側も学べるから、非常に価値があるのではないかと考えます。
いくつかの切り口がありますが、やはり地元として八王子の市民の方が、また事業者が発展していく状態をつくりたいですね。毎日マインドが下がっていくような右肩下がりの状態ではなくて、賑やかに活き活きしている雰囲気が継続する状態が必要です。例えばトレンドとしてプロスポーツがあって、その活動が街を賑やかしていくみたいなことがあってもいいんじゃないかな。そのためにも、目的意識として現場レベルで稼ぐんだという強い志がある経営者や頑張る人を応援したいです。やっぱり自分の人生のリーダーは自分自身ですからね。
取締役会長 古瀬 智之 様
1958年生まれ。1981年、父親が創立した(株)コスモ計器に入社。1996年代表取締役に就任。圧力トランスジューサ、流量センサーなどを開発。販路を世界に広げる。2023年娘の古瀬 悠に承継、これに伴い取締役会長に就任。一方、公財)日本健康アカデミーを設立し、薬物乱用防止教育などの活動にも尽力。2015年よりサイバーシルクロード八王子、運営委員/会長、第9期はちおうじ未来塾塾頭も兼任し現在に至る。趣味 レンジファインダー・カメラ、フィールドアーチェリーなど。
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